top of page

ロサンゼルスの空気

 LAに長年住むと、亜熱帯的で季節感に乏しい環境の中で日本人的な四季の移ろいへの細かい感覚が鈍化するような気がするが、一方で過ごしやすい気候に恵まれた地だとは思う。二兎は追わず無い物ねだりはしない心境だ。LAはすぐ回りに山も海も砂漠もある良さがあり、広い空間があって人々の心のスペースも広そうな感じがある。  そんなLAだが何年住んでも日本人の僕の喉や鼻には(肌にも)合わないらしく、同様のご同胞がいるのではないかと思い書いてみる。  LAから何度も日本に行くうちに気づいたのだが、日本に着いて2日目くらいからいつの間にか喉がすっきり晴れて良い声が出る。カラオケで歌ったりすると、声の調子が良く、われながら勝手に「オッ、いいぞ、ワハハ」となる。我田引水でこんなに良い声だったかと喜んでしまう。空気の湿度が高いのが理由らしく、LAの乾いた空気に比べて喉が滑らかに潤い、声帯が広がり声が通る感じだ。東京生まれ東京育ちだから、日本の湿気ある空気がそれこそ水と空気であり、湿度の低いLAだと喉や鼻がうまく順応しないらしい。LAに戻ると良い声が出るのは初日くらいで、ほぼ2日目からは徐々に元のくぐもった感じの声に戻ってしまう。  この現象は日本だけでなく外国旅行で湿度が普通か高い国でも喉が晴れる。欧州、アジア、南米などから米国でも例えば東部のNY、ボストン、DC、さらに南部などでは声が調子良い。西岸でもカナダのバンクーバーは数日がかりで何度も行く時期があったが、付き合いで歌う時はすこぶる好調だった。一方砂漠のネバダ州、アリゾナ州などでは声がくぐもる。運転中に歌ってみても不調の売れない歌手である。  昔LAに移って来た初期に喉と鼻の調子がおかしいと感じ専門医に診てもらったら、これはLAノーズという症状だそうで、対策はワセリン軟膏を湿気代りに楊枝で鼻の中に塗るか、家で蒸気吸入器を常用すると良いと言われた。歌手ではないし、そこまでやる気がしない。  日本の湿気の高い夏は特に辛いが、喉と鼻とそして肌には良いのですね。同病相哀れむご同輩がおられたら一緒に歌でも歌って励まし合い、対策を研究しましょうか。【半田俊夫】

1 view0 comments

Recent Posts

See All

熱海のMOA美術館に感動

この4月、日本を旅行中に東京から新幹線で45分の静岡県熱海で温泉に浸かり、翌日、山の上の美術館で北斎・広重展を開催中と聞き、これはぜひと訪れてこの美術館の素晴らしさに驚き魅せられた。その名はMOA美術館(以下モア)。日本でも欧米でもたくさんの美術館を見たがこれは 所蔵美術品の質と数の文化的高さ、豊かな自然の中に息を飲むパノラマ景観を持つ壮大な立地、個性豊かな美術館の建築設計など卓越した魅力のオンパ

アメリカ人の英国好き

ヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式が華やかに執り行われた。米メディアも大々的に報道した。  花嫁がアメリカ人であるということもあってのことだが、それにしてもアメリカ人の英王室に対する関心は異常としか言いようがない。  なぜ、アメリカ人はそんなにイギリス好きなのだろう。なぜ、「クィーンズ・イングリッシュ」に憧れるのだろう。アメリカはすでにイギリス系が多数を占める国家ではない。いわゆるア

野鳥の声に…

目覚める前のおぼろな意識の中で、鳥の鳴き声が聞こえた。聞き覚えがない心地よい響きに、そのまま床の中でしばらく聴き入っていた。そうだ…Audubonの掛け時計を鳴かせよう…  Audubonは、全米オーデュボン協会(1905年設立)のことで、鳥類の保護を主目的とする自然保護団体。ニューヨークに本部がある。今まで野鳥の名前だと思っていたが、画家で鳥類研究家のジョン・ジェームス・オーデュボン(1785

bottom of page