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さよならブリッジUSA誌

 ロサンゼルスを中心に配布されてきた日本語無料情報誌『ブリッジUSA 』がこの10月号をもって廃刊という。当地での情報誌の草分け的存在であり、27年前の創刊以来、タウン誌として日系スーパーや食堂などに置かれ、私たちに日本語で情報を提供してくれてきた。時代の波とはいえ廃刊は寂しい限りだ。スタッフの皆さんが注いだこれまでの情熱に敬意を表する中で、私は特にひとりの顔が忘れられない。それは編集主幹の加賀崎雅子氏だ。1992年に編集長として着任して以来、彼女は、当地の日系記者クラブ会長なども歴任しながらこのタウン誌を大きく飛躍させることに貢献した。  私も彼女とは多少係わりがあり、4年に一度のアメリカ大統領選挙が行われる都度、毎回、彼女を私たちの勉強会に講師として招き、その解説と選挙結果予想をお願いするのが恒例としていた。その講演の中でも特に印象に残っているエピソードがある。それは2004年11月の「投票日前日、大統領選挙の行方とその後について」と題したものだった。当時、彼女はブリッジ誌の編集長であると同時にラジオのニュース・ディレクター、LA日系記者クラブ会長だった。講演が設定されたのは大統領選挙の前日(2004年11月1日)で、この時は現職のジョージ・W・ブッシュ氏(共和党)が再選を期し、対抗馬のジョン・ケリー(民主党)候補と熾烈な選挙戦をしていた時だ。現職のブッシュ氏は当時、イラクとの戦争などで窮地にあり、一般的には圧倒的にケリー氏優勢が伝えられていた時だった。そんな情勢の中で、彼女はブッシュ候補の勝利といい切ったのだ。なんとも度胸のある予想で、私は感動した。そして翌日の選挙結果はその予想通りになった。その時の録音テープが残っており、今聞いても感慨深い。加賀崎氏の大統領選挙に対する分析、選挙後の日米関係などに関する解説も的確だった。  こんなブリッジUSA誌が27年の歴史に終わりをつげるということで、私にとって淋しい限りだ。スタッフの皆さんはこれまでの実績を基礎に今後、さらに発展されることを期待したい。【河合将介】

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