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2016年…

 十日足らずで新しい年になる。何の用意もできないまま年を越して、ばたばたと日々を過ごし、1年が終わる。体だけがきちんと老化という変化を感じているのだから、それに応じた対処の仕方を考えたら、もう少し時間の使い方を工夫をしてもいいはずなのに、つい怠ってこの体たらく。  毎年、別れがあって出会いがあってのご縁をいただいている。久しく身近に縁のなかった命の誕生に、昨年末から出会えて、一人は1年を迎え、一人は3カ月になる。子供は日々成長し、違う表情やしぐさを見せてくれる。笑った、寝返りを打った、ハイハイした、つかまり立ちをした、伝い歩きをした、歩いたと。自力で歩けるようになるのが、子供にとっても最大の出来事になるのではないだろうか。誰かが人類の進化を見ているよう、と言ったが然り。  今年一番興奮した出来事は、広島カープのリーグ優勝。とりわけ、プロ野球に関心があるわけではないが、ただ、「広島カープ」と聞くと地元でもないのに、何かワクワクしてくる。  かれこれ40年近く前のこと、初めて広島に行ったとき、特別養護老人ホームを訪ねた。廿日市と呉だったが、施設を案内してもらって、そこで生活しているお年寄りと話をする機会があった。話のきっかけは記憶していないが、それまで何の反応もなかった90過ぎたおばあさんが、「広島カープは、私らみんなでお金を出し合って作った球団じゃ」と目を輝かせた。大きなお金を出せなくても、缶に貯めていた小銭をみんなが持ち寄った。広島市はお金は出せないからと、球場を作って使わせた、などなど。周りにいたお年寄りも、カープで盛り上がった。山本・衣笠両選手が活躍していた時期で、選手の名前、カープのカの字を出しただけで話が弾み、熱気が伝わった。こんなに市民県民が一体となって応援するプロ球団があることに感動した。  リーグ優勝が決まったとき、ちょうど日本にいてテレビ観戦していた。感涙にむせびながら、一連の思い出、物語がよみがえった。学校でも子供たちにこの歴史を教えていると知った。何でも、歴史にある背景のドラマがすばらしい。【大石克子】

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