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銃規制を訴える級友の怒り

 世を挙げて平昌五輪の祭典に熱くなっている時、フロリダの高校で19歳の青年が銃を乱射して17人を射殺、テレビのニュースも明暗を分けた。  アメリカの銃器の規制は「ある」というだけでほとんどが野放しの状態。  高性能の、殺人以外に使用目的の無い重火器や大量の弾丸の入手が一般市民にも、その気になればさして困難ではないようだ。  押し込み強盗、カージャック、路上のひったくり、どんな場合でも犯人が拳銃を持っていないという保障などどこにも無い。「だから誰でも自分を守るために銃を所持して何が悪い」というのがNRA(全米ライフル協会)の言い分だが、その結果無差別殺人が際限も無く繰り返される。いずれ「ああまたか」と人々の殺人事件に対する市民の反応が鈍くなり、銃撃事件が日常茶飯事扱いになるのがおそろしい。  毎朝親が子供を学校に送り出す時に、「きょうも無事に学校から帰ってくるかしら」と心配しなければならない世の中になったわけだ。まるで戦時下である。  今度の事件では被害者の両親や家族はもちろんだが、級友を失った高校生たちがトランプ政権に厳しい銃規制を求めて立ち上がったようだ。  情けない話だが、NRAから選挙資金を握らされた政治家など何の役にも立たない。  トランプ大統領にしてからが、銃規制の強化を要求されて、 「(犯人が事件を起こすまでに)FBIがいくつものサインを無視した結果の悲劇である。FBIはロシアが米大統領選に介入したかどうかなど、起こりもしないことを穿り出して、肝心の職務をおろそかにした」となじり「精神病患者のケアを考えねばならない」と、NRAへの矛先転換にやっきになって、いつものことながら的外れの発言をしている。  選挙権の有る無しに関わらず政治家たちは高校生たちの叫びに真摯(しんし)に耳を傾けねばならない。  3月24日には、ワシントンに向けて全米規模のデモを行い銃規制を訴え、4月には登校を拒否してアピールをするという。  級友を失った若者の怒りが政治を変えるかもしれない。ぜひとも成功させたい一事である。【川口加代子】

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