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銃社会の改善

 フロリダ州オーランドの悲劇のニュースで心が痛む。犠牲者の方たちにはご冥福をお祈りし、負傷者の方たちには一日も早い回復を心から願う。  銃乱射事件が勃発するたびに銃規制とそれに相反するセカンド・アメンドメント(合衆国憲法修正第2条)、つまり国民が銃器を保有・所持する権利を保障する議論が蒸し返される。自分は平和な日本での生活を実感しているので、銃規制には大いに賛成だ。  銃社会のアメリカには驚愕する。オバマ政権が始まった2008年頃、全国民の人口数より、所持する銃の数が上回った。当時、銃規制の懸念で、銃を今のうちに取得との分析結果だそうだ。2013年の統計では、人口3億1700万人に対し、3億5700万の銃の数を記録。国民一人に1・12個所有する計算である。2009年以降、拳銃の売上げが2倍に及ぶ。  まずアサルト・ライフルという連射が可能な半自動式小銃の規制をしてほしい。戦争で戦う兵士でもない一般市民にとって何故そんな武器が日常で必要なのか?武器を売る側も何のために?と疑問に思わないのか? 銃が多く出回るほど事故、事件が増え、負傷、死傷の数も増える、という単純な考えが受け入れられないのが不思議である。  1993年、クリントン政権時に時限立法のブレイディ法が制定(所持については州法が規制)。W・ブッシュ政権時の2004年に延長されず失効。アサルト銃器の規制も同年失効。その背景には、銃規制に強く反対する400万人のメンバーを誇る全米ライフル協会(NRA = National Rifle Association of America)の存在がある。保守派のパワフルなロビー団体だ。  銃規制反対派の意見に、なるほどと納得した点もある。もし国民が銃を持てずに、武器の所持が警察や軍部だけ(犯罪者もだが…)になったら、職権乱用を含め権力者たちによるアビューズが生じ、釣り合いが取れない亀裂した不平等の社会になってしまう、というのだ。  一理あるかもしれない。しかし、昔の西部劇のような無法地帯時代ではないのだし、今こそ第2条の議論を徹底的に行い銃規制を施行するべきである。自衛が必要=他人を信頼できない…という点も改善できればと願う。【長土居政史】

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