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英王室領マン島の魅力

 以前より気になっている島がある。イギリスとアイルランドに囲まれ、アイルランド海のほぼ中央に位置するマン島(英語表記:Isle of Man)だ。淡路島よりやや小さめの面積で、人口約8万6000人程。変わりやすい天候。雨が多めで夏は涼しく冬は寒い。  紀元前6500年以前の中石器時代頃から人が釣りや刈りをして居住していたようだ。新石器時代に巨石の遺跡が建てられたとされる。鉄器時代にはケルト文化の影響を受け、森、木、草等を崇拝した神秘的で独特の宗教観が根付いた。  5世紀頃からアイルランド人が移住し、キリスト教が伝道された。マン島語と呼ばれるゲール語(マンクス語とも)も形成された。バイキングに支配され、一時ノルウェー王に保有された。1266年以降はスコットランドが支配したが、その後、イングランドと支配権を幾度も争った。  1765年、マン島の宗主権を保有していたスコットランドの貴族が売却し、イギリス政府が税金はイギリスに払う条件で、マン島に自治権を与え、英王室に支配権が帰する形にした。  現在もブリティッシュ・クラウン・デペンデンシー(英王室領)であり、統治主(Lord of Mann)は女王であるエリザベス2世になる。詳しく述べると法的にはグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国の領土でも、コモンウェルス(英連邦王国)でもない。マン島は、昔から民主主義を確立した自治政府であり、英王室直轄の領土なのだ。しかし外交、防衛、安全保障はイギリスの軍隊が代行する。イギリスの市民権もある。  主な産業は観光だ。毎年5月末から6月頭にかけた6日間、公道を使ったオートバイレースが開催される。1907年に始まり世界で最も歴史が古く、最も栄誉があり、また最も危険なレースとされる。108年間に248名が死亡している。一周60キロのコースを約18分かけ6周、平均時速200キロ、300以上のカーブを走る。  マンの名前は、Manannan(マナナン)といわれるケルト族の海の神に由来する。マナナンのシンボルである3つの脚がマン島の旗のデザインだ。「Fairy Bridge(妖精の橋)」もある。古い歴史に神話的魅力が漂う。いつかは訪問してみたい島だ。自分のBucket Listに入れておこう。 【長土居政史】

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