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羅府新報を応援する

 羅府新報の存続を応援する一筆。ご承知のごとく同紙は年々の発行部数の減少による今の経営難が改善できなければ、今年いっぱいで廃刊が避けられないと今春早々に発表した。  だが羅府新報は日系社会の最後の砦、存続してほしい。羅府新報が日系社会の出来事や、人や団体の活動を日々報じるから日系社会はつながって来た。無くなったら終りだ。  同紙は1903年、日露戦争の1年前、実に明治36年の創刊だ。先の大戦中の日系人強制収容の4年間だけ休業を余儀なくされたが、今年で創刊113年の長い歴史を日系社会と共に生きて来た。日系社会をつないで来た。困難な歴史の中をまさに花も嵐も踏み越えて生き抜いて来たのだ。  他の幾多の邦字紙が次々に廃刊し、今や羅府新報が全米に唯一残る日系邦字・英字の日刊紙だ。インターネットの普及で印刷媒体の衰退は世界的な現実。だがもし同紙が今年で終わってしまったら、それは日系百有余年の歴史の中で最大の損失になるだろう。失くなれば灯台の無い寂しい社会になっていく。同紙の代りはもう無い。性格の異なる日本の大手新聞や当地の無料タウン誌では代われない。  中華系や韓国系は幾つも新聞が競い合い活発だ。民族集団の活力と勢いを顕示している。日系だけ萎んでは…。  羅府新報はここ数年続く経営赤字をオーナー側の資金でカバーして来たが、これ以上の持続は不可能という。存続のための目玉策として従来の印刷紙に加えオンライン購読の契約キャンペーンを始めた。年間契約50ドルで1万人の獲得を目指す。増収により紙面を向上、文書、史籍のデジタル化、アプリ開発、さらに過去15年も据え置きの社員の給料も上げて進みたいという。オンライン購読を子供や友人の子弟へのギフトとして契約してほしいと、日系文化、遺産の継承につなげてほしいと要請している。  ここで部外者だが一つ言うと、ここ迄来たからには同紙存続には経営内部の根本的改善は必要だろう。それ以上具体論は書かないがそれが出来るか否かが決定的に第一。併せて、地域社会で存続を願う僕ら皆で具体的に支援する必要がある。同紙を失くす時はそこに至った経営側と日系社会の両方の責任になる。【半田俊夫】

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