top of page

生きる使命

 わが家の庭には一本の桃の木が植えられており、毎年この時期になると静かに桃色の花を咲かせます。苗木が植えられた頃には、葉だけの様相で観賞することもありませんでしたが、ここ数年は見事な花を咲かせて、春の訪れを伝えてくれるのが、この桃の木です。  ところで、どんな事にも理由があることを信じています。失敗をしたことも、病気をしたことも、今この時に生きていることさえも偶然ではなく、何か理由があってのことだと考えています。例えば、しくじったり、物事がうまく行かない時があります。生きていればそのようなことは何度でも訪れます。しかしながら、うまく行かない時は自分を引き上げる時です。壁を乗り越えるべき時です。つまり自分が人間として成長する時なのです。ですから、うまく行く時より、うまく行かない時が自分にとって大切な時期なのです。病気で短い人生を全うした人にも、立派に生きた使命が必ずあるのだと信じています。誰もが自分を成長させ、自分がなぜ、何の役に立つために今を生きているのかを意識する必要があります。  明日が必ず訪れると思っている人は、今日を無駄に過ごしてしまいます。今日が最後の日かもしれないことを常に頭に浮かべて、今を過ごすべきなのです。一日を無駄がないように、自分らしく一生懸命過ごす。人の悪口を言う時間ではなく、人の喜ぶ顔を見る時間が長い方が、間違いなく満足の多い幸福な一日となるはずです。その一日、一日の積み重ねが一年となり、一年の積み重ねが一生になります。そうであれば、今の一瞬一瞬を充実した思いで過ごすことが、私たちに与えられた生きる使命になるのではないでしょうか。  良い成績を修めることも、良い学校に入ることも必要かもしれませんが、大切なのは自分の使命を感じ、自分らしく一日を生きていることなのではないでしょうか。一年で数週だけ咲くことを使命とするわが家の桃の木を見て、そんなことを考えました。人生の最後の一日に、あなたは何をしますか。 【朝倉巨瑞】

1 view0 comments

Recent Posts

See All

熱海のMOA美術館に感動

この4月、日本を旅行中に東京から新幹線で45分の静岡県熱海で温泉に浸かり、翌日、山の上の美術館で北斎・広重展を開催中と聞き、これはぜひと訪れてこの美術館の素晴らしさに驚き魅せられた。その名はMOA美術館(以下モア)。日本でも欧米でもたくさんの美術館を見たがこれは 所蔵美術品の質と数の文化的高さ、豊かな自然の中に息を飲むパノラマ景観を持つ壮大な立地、個性豊かな美術館の建築設計など卓越した魅力のオンパ

アメリカ人の英国好き

ヘンリー王子とメーガン・マークルさんの結婚式が華やかに執り行われた。米メディアも大々的に報道した。  花嫁がアメリカ人であるということもあってのことだが、それにしてもアメリカ人の英王室に対する関心は異常としか言いようがない。  なぜ、アメリカ人はそんなにイギリス好きなのだろう。なぜ、「クィーンズ・イングリッシュ」に憧れるのだろう。アメリカはすでにイギリス系が多数を占める国家ではない。いわゆるア

野鳥の声に…

目覚める前のおぼろな意識の中で、鳥の鳴き声が聞こえた。聞き覚えがない心地よい響きに、そのまま床の中でしばらく聴き入っていた。そうだ…Audubonの掛け時計を鳴かせよう…  Audubonは、全米オーデュボン協会(1905年設立)のことで、鳥類の保護を主目的とする自然保護団体。ニューヨークに本部がある。今まで野鳥の名前だと思っていたが、画家で鳥類研究家のジョン・ジェームス・オーデュボン(1785

bottom of page