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歴史的なオバマ「ケア」

 現職の米大統領としてオバマ氏が、初めて被爆地・広島の土を踏んだ。平和記念公園内の原爆慰霊碑に献花し黙とうを捧げてくれた。約17分もの演説で核兵器廃絶へ強い決意を表明。  碑文には「安らかに眠って…」と刻まれている。気持ちを込めた演説は、原爆犠牲者のみならず、戦死者、そしてそれらの遺族の心にも響いたことだろう。被爆者を抱き寄せた光景をネットの動画を再生するたびに胸を打たれた。被爆者が生存しているうちに訪問できたことは意義深い。さすが、「核兵器なき世界」を提唱し核軍縮推進の功績が認められたノーベル平和賞受賞者。鮮やかだったキューバとの54年ぶりに国交を回復させたことも思い出させた。  広島訪問は、伊勢志摩サミット開催時にと、虎視眈々と狙いを定めていたに違いない。大統領選前の大切なこの時期は微妙で、場合によっては退役軍人や共和党から批判を浴びることもあったという。にもかかわらず、任期終了間近の滑り込みの最後のチャンスを逃すことはなく、執念を感じさせた。任期が終わった後にも長崎にも行ってもらえれば、なおうれしい。  大統領は4羽の折り鶴を折り、見学した平和資料館に寄付した。その力作と記帳した芳名録は後に展示されるというが、早合点した人々が押し寄せ、来館者数は昨年比で倍増したそうだ。それら2品を、平和のシンボルとして、世界文化遺産の追加登録を目指せば、平和への意識はいっそう高まることだろう。  昨年は安倍首相の前で自作の俳句を披露し「ハイクを詠んだ初の米大統領だろう」と誇ったが、これからは「被爆地ヒロシマを訪問した初の米大統領だ」と、声高らかに言いまくってもらいたい。  大統領は、公約に掲げた医療健康保険制度改革が、思うように浸透せず、もどかしい思いだろう。一方で、念願の被爆地訪問を果たし「広島に来て良かった」と、晴れ晴れとした心で帰国の途に就いたという。日米双方の国民の心を癒してくれた歴史的なオバマ「ケア」に、心から敬意を表したい。【永田 潤】

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