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日本語の不思議さ

 日本語の文章を執筆中、濁音の振り仮名でしばしば手が止まる。  例えば「砂糖」が「角砂糖」になる時、「さとう→かくざとう」になる。「話」が「昔話」になる時、「はなし→むかしばなし」になる。「子供」が「双子」は「こども→ふたご」、「詰める」が「缶詰」は「つめる→かんづめ」になる。  このパターンはお分かりでしょうか? つまり「さ→ざ」、「は→ば」、「こ→ご」、「つめ↓づめ」になる。発音しやすいように濁音になるのは容易に理解できるし、元々の振り仮名に点々を付けるだけ、というある一定の法則が見える。ここまでは論理的だし納得できる。  ところがだ。「土地」は「とち」、「基地」は「きち」、「地形」は「ちけい」なるが、「地(ち)」を使った濁音の「地震」「意地」「路地」は、それぞれ「じしん」「いじ」「ろじ」になり、「ち」の濁音の「ぢ」ではなく「し」の濁音の「じ」となる。「地」は「し」とは読まない。  では「ぢ」は無いのか、というと、いやいや立派にある。「縮む(ちぢむ)」、「鼻血(はなぢ)」、「入れ知恵(いれぢえ)」「身近(みぢか)」、「茶屋(ちゃや)」が濁った「三軒茶屋(さんげんぢゃや)」などだ。でもこれらは原形が清音の「ち」から由来しているからおかしくはない。以下の疑問も出てきた。  「中(ちゅう)」も、濁音の「世界中(せかいじゅう)」や「年中(ねんじゅう)」になると「ぢゅう」でなく「じゅう」になる。  同様に「稲」と「妻(つま)」を合わせると「稲妻(いなずま)」だ。「ず」と「づ」は別な発音だったのが、江戸時代に同じ発音になったらしい。  文部科学省の公式ホームページの現代仮名遣い内閣告示第一号(昭和61年7月1日)によると、現代語の意識では二語に分解しにくいもの等として、「じ」「ず」が本則だが、「せかいぢゅう」でも「いなづま」を用いてもよしとある。また以下の「じ」「ず」は漢字の音読みで、もともと濁っているとあり、じめん(地面)、ぬのじ(布地)が例と記載されている。  まだまだ曖昧なルールだが、日本語は、むずかしい、むづかしい! 【長土居政史】

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