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在外投票制度の改善

 7月10日投開票の参議院議員選挙は野党の選挙協力が話題になり、結果についてはメディアで報道された通りです。参院選に続いて舛添都知事の辞任を受けて東京都知事選の選挙が始まりました。東京では連日各党の面子をかけた選挙戦が熾烈に戦われています。  今回の参院選より有権者の年齢が18歳以上に引き下げられました。新有権者240万人の投票結果は、総務省の速報で18歳の投票率が51%、19歳が39%と、かなりな差がありました。原因は多くの高校で投票に関する授業が行われたことのようです。投票に関する教育の大切さが証明されました。  初選挙での投票体験は彼らの一生の投票行動に影響し続けるでしょう。自分なりに勉強して1票の意義を考えたこの新有権者たちの政治にかける期待と決意は、一服の清涼剤でした。  さて、参院選の在外投票はどうでしょう。速報では残念なことに海外在住者は年々増えているのに、選挙人登録数や投票数は年々減っているのです。129万人超の海外在留邦人に対し、在外選挙人登録者数は昨年の11万3千人から今年は10万5千人と約8千人も減っています。ブラジルのメディアは有権者の高齢化と手続きの煩雑さを指摘しています。現地広報、投票所での係官手配、投票済み用紙の日本への持ち帰りなど、多額の予算が使われているのに効率が上がらない。在外投票制度の低迷は、公職選挙法が国内の手続法に準拠し、海外の実態に合ってないのです。  5月には藤田幸久・牧山ひろえ両参議院議員がNYを訪れ、現地の海外有権者ネットワーク・NY共同代表の竹田氏・竹永氏たちと「在外投票の意見交換会」を開きました。帰国後、牧山議員は参議院議長宛に在外投票制度の改善について2通の質問書を提出しました。  政府からの答弁書は前向きで、総務省や外務省でも改善に向けた準備が進んでいるようです。在外投票は「海外からの視点」を国政に反映させる大切な制度です。これを機会に各地の海外有権者ネットワークや在外投票を推進する議員連盟との連携で改善運動が盛り上がる機運が生じました。今後の進展が期待されます。 【若尾龍彦】

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