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デジタルとその先

 デジタルへの移行とインターネットの普及は、第3次産業革命ともいえる大きな変化を人類の生活にもたらした。メディアには多大な変化が訪れ、企業は経験したことのない素早い対応と新たな発想が要求される。業種によっては存続が不可能となり、廃業か方向転換を強いられる。処理しきれない量の情報が瞬時に入手できる半面、信ぴょう性と処理に振り回される。  検索エンジンのグーグルやコンピューターメーカーだと思っていたアップルが、携帯電話で世界を制覇、さらに自動車製造へも参入のようだ。首位にあったハイブリッド車を尻目に、21世紀になって現れたテスラは、電気自動車の販売で売り上げ上位に躍り出た。フジフィルムとともに少し前まで世界中の写真、映画業界を牛耳っていたコダックは破綻。音楽はレコードからCD、そしてダウンロードへと姿を変えた。  と思いきや…、CDを開発した当のソニーが昨年レコードプレス機を再導入し、製造をはじめている。レコードの復興はこの10年ほどささやかれていたが、あくまで少数派を中心に、マニアックな嗜好品の域を出るとは誰も想像していなかっただろう。今もそうした少数派が主役だが、最近は若い世代にも裾野が広がっている。またミュージシャンにはレコードファンが多く、ジャック・ホワイトは自身のレコード会社を設立、プレス機を購入して製造も手掛ける。場所も取り丁寧に扱うことを強いられるなど、時代にそぐわない部分が多いが、この不便な部分をやることで癒されたり、音楽以外の楽しみも味わえる。LPジャケットは大きいので額に入れれば部屋の飾りにもなる。音自体も通常CDやMP3より良い。  以前のようなメガスターが少なく、音楽自体への興味が下降気味なのか、業界は売上低迷に喘いでいる。そんな中レコードの売り上げのみがここ数年上昇を続けている。 こうした需要増から、 ほぼ製造中止だったレコードプレーヤーも、世界中のオーディオメーカーから発売され、USB端子のついた新機種や以前人気だった機種が購入可能だ。人間の嗜好、感性の部分はデジタルでは置き換えられないところもあるようだ。【清水一路】

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