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オリンピックの思い出

 リオで開催中のオリンピックが大いに盛り上がっている。「世界一を決めるスポーツ競技会」なのはもちろんだが、世界が一つにまとまる「夢と希望の祭典」でもある。  1964年の東京オリンピックでは、母親が、1歳の赤ん坊である自分をおぶって、外苑通り沿道の混雑の中、マラソンのアベベ選手を応援した。とても興奮したらしい。もちろん自分は覚えていない。  個人的な思い出は、1972年のミュンヘン大会だ。金メダルをとった平泳ぎの田口選手、バタフライの青木選手、体操の塚原選手、加藤選手、そして男子バレーだ。準決勝でセットカウント0対2から逆転し、決勝では、ソ連を破った東ドイツを倒して金メダルを獲得した。  小学校4年生頃だったと思うが、暑い夏に、家族や友達と一緒にテレビで応援して、少年ながらに深く感動した。果てしなく明るい希望と可能性を、日本国全体が感じていたような気がする。そして水泳のマーク・スピッツ選手が金メダルを量産した。一大会7個は、北京オリンピックのマイケル・フェルプス選手(8個)に破られるまで記録だった。こんな選手が出てくるなんて、やっぱりアメリカって凄い! と感じたことも覚えている。  またイスラエルの選手たちが襲撃された悲劇のテロ事件も起きた。人間の怖さや憎しみ、否応無しに植え付けられた。平和を掲げる理想的なオリンピックは、実は政治や社会問題とも背中合わせであるという厳しい現実も学んだ。  元々はアマチュア精神と教えられたのだが、プロも参加するようになったことに驚きもあった。時代の流れと共に、社会の価値観が変わっている証なのだろう。  今大会92年ぶりに復活したラグビー競技(15人制でなく7人制になった)だが、伏兵とされた日本はこの晴れ舞台で、優勝候補筆頭のオールブラックス(ニュージーランド)を初めて破り歴史的勝利を得た。惜しくもメダルを逃し4位の成績だが、見事である。  大人になっても夢や希望を与えるイベントだ。次の東京大会では、自分が母親をおぶって、応援に行けたらいいなあ、と思う。 【長土居政史】

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