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加州高速鉄道計画:予算超過、完成の遅れ懸念

 ロサンゼルスとサンフランシスコ間を約3時間で結ぶ加州高速鉄道のイメージ図(加州高速鉄道当局提供)

ロサンゼルスとサンフランシスコ間を約3時間で結ぶ加州高速鉄道のイメージ図(加州高速鉄道当局提供)

 ロサンゼルスとサンフランシスコ間およそ520マイル(約840キロ)を時速220マイル(時速約354キロ)、約3時間で結ぶカリフォルニア州の高速鉄道計画で、予定されている総工費680億ドルを上回り、完成が遅れる可能性が専門家から指摘されている。

 同計画ではロサンゼルス北部のバーバンクとパームデール間に連なるサンゲーブル山地におよそ20マイル(約32キロメートル)、パームデールとベーカーズフィールド間に連なるテハチャピ山地におよそ16マイル(約26キロメートル)のトンネルを貫通させる予定となっている。  計36マイル(約58キロメートル)にわたるトンネル貫通工事は全米最大規模となる。工事完了予定は2022年を予定しているが、エンジニアや建築家、科学者など専門家の分析によると、大幅な遅れが予想されている。  加州南部から西部にかけては太平洋プレートと北アメリカプレートが接するサンアンドレアス断層がおよそ800マイル(約1300キロメートル)にわたってのびており、専門家は両区間にトンネルを貫通させることは、地質構造的に困難だと指摘する。  トンネル工事の専門家のジェームス・モンシーズ氏は「これらの地区へのトンネル貫通工事は現実的とは思えない。大きな問題が発生してからでは遅すぎる」と警鐘を鳴らす。  オックスフォード大学のビジネス学部教授で大規模投資事業の危機管理の専門家でもあるベント・フライビヤーグ氏は、「同計画はすでに予算増加や工事の遅れが発生している。こうした要素はさらなる工事の遅れや予算超過を引き起こす兆候でもある」と指摘する。同氏のリサーチ結果によると、世界各国で行われている高速鉄道計画において、平均して45%の予算増加が発生しているという。  ニューヨーク市東部で行われた11マイルにおよぶトンネル貫通工事では、当初の予定より完成が14年遅れ、予算は43億ドルから108億ドルにまで増加した。ボストン市で07年に完成した3・5マイルのトンネル貫通工事では、9年の遅れがでて、最終的に予算は当初の予定のおよそ3倍に膨れ上がったという。  加州高速鉄道当局はこれまでのところ、両エリアにおけるトンネル貫通工事のルートは決定していない。  加州の高速鉄道計画は2008年の住民投票で、およそ100億ドルの州公債発行が承認されスタートした。当初、総工費は330億ドルと見積られていたが、予算は徐々に膨れ上がり、最終的に680億ドルになった。  当初は12年の着工を目指していたが、2年半の遅れをとり、今年1月6日に加州のジェリー・ブラウン知事が出席する中、起工式が行われた。最初の着工区間はバーバンクとマーセド間で、工事は7月に開始された。全線開通は29年を目指している。

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