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ポーターランチガス漏出問題:加州当局、井戸の閉鎖を命令

公聴会でガス貯蔵施設全体の閉鎖を求めるプラカードを掲げるポーターランチの住民たち(写真=吉田純子)

公聴会でガス貯蔵施設全体の閉鎖を求めるプラカードを掲げるポーターランチの住民たち(写真=吉田純子)

 ロサンゼルス北部ポーターランチにある南カリフォルニア・ガス・カンパニー(SoCal Gas Co)のガス貯蔵施設から大量のメタンガスが漏出している問題で、南カリフォルニア大気環境管理局は23日、公聴会を開催した。ガス漏出の早期解決に向けて審議が行われ、同局は同社に対し、早急なガス漏出停止処置とガスが漏出している井戸の閉鎖、ガス漏れ検知機の設置、施設周辺の大気汚染の状況および近隣住民の健康への影響を調査するよう命じた。【取材=吉田純子】

 公聴会にはSoCal Gas Coの弁護団ほか、ブラッド・シャーマン下院議員(民主・シャーマンオークス)、ポーターランチを管轄する12区のミッチェル・イングランダーLA市議、そして住民およそ250人が参加した。  同局の理事会メンバーは同社に対し、昨年10月23日の事故発生後、今もガス漏出が続いている現状を受け、漏出をくい止めるまでにどのくらいの期間を要するのか説明を求めた。しかし現段階でもデータ収集を行っており、現時点では返答できないとの同社の返答に対し、理事会メンバーはコミュニティーが求めている答えではないと指摘。住民からも依然解決の糸口がつかめぬ同社の対応に憤りと不満の声が相次いでいる。

事故発生後に鼻血を出したポーターランチ住民のペットの猫。施設付近では人だけでなくペットの健康被害も報告されている。(日比野恭子さん提供)

事故発生後に鼻血を出したポーターランチ住民のペットの猫。施設付近では人だけでなくペットの健康被害も報告されている。(日比野恭子さん提供)

 公聴会開始前には同施設による環境災害からポーターランチの住民を守るため発足されたNPO「Save Porter Ranch」のメンバーと住民らが集結し、井戸の閉鎖を求め抗議集会を行った。  公聴会で意見陳述した住民のひとりで30年間ポーターランチに住むベン・ケイゾールさんは、事故発生後これまでに3回の転居を余儀なくされた。91歳の母親はホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者で、家族はみなガス室に送られ亡くなったという。「ここにきて母がガスにおかされるなんてあんまりです」。ケイゾールさんは現在置かれている状況を説明し、井戸の即時閉鎖を求めた。  しかし今回の決定はSoCalGas側の状況を考慮し同局が検討を重ねた上考えられた草案で、施設全体の閉鎖を求めていた住民側の意向は通らなかった。理事会メンバー5人のうち、1人が住民側の意向をくみ取り、あとの4人は今回の決定を支持。公聴会が終わった後も住民側からは不満の声が聞かれた。  同社はこれまでにも数回、ガス漏出をくい止める処置を行ってきたが失敗に終わっている。同社はメタンガスは長期的な人体への影響はないとしているが、鼻血や頭痛、嘔吐などの健康被害を訴える住民が続出している。  メタンガスは温室効果ガスであることから環境への影響も懸念されており、環境問題に取り組むNPO「環境防衛基金(EDF)」の調査によると25日現在までのメタンガス流出量はおよそ8万6千トン。この数字はカリフォルニア州が1日に排出する量の4分の1に相当する。メタンガスの温室効果は二酸化炭素の84倍と言われている。  現在、住民約2500世帯が同社が手配したホテルなどに避難して生活しており、今もおよそ1500世帯が転居を希望している。

公聴会開始前にもガス貯蔵施設の閉鎖をもとめる住民たちが結集し、抗議集会が行われた(写真=吉田純子)

公聴会開始前にもガス貯蔵施設の閉鎖をもとめる住民たちが結集し、抗議集会が行われた(写真=吉田純子)


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