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J-TOWN BEAT:ショーン・ミヤケ氏は、どこへ?


英語部編集長:グエン・ムラナカ

 「ショーン・ミヤケ氏を見かけた?」 最近コミュニティーの会合やコーヒーの席でいろいろな人からよく聞かれる。

 敬老の施設がパシフィカ社へ売却されてから数カ月経つが、この売却劇は未だに不可思議きわまりない。

 昨年10月に西本願寺羅府別院で行われたパブリック・ミーティングで熱い討論がかわされてから、公式の場でミヤケ氏からは敬老に関した発言は一切ない。彼の担っていた部分は現在、理事長のゲリー・カワグチ氏が引き継いでいて何度か会っているが、 理事会による売却決定に関しその理由をていねいに話してくれる。

 最近ロサンゼルス郡参事会に提出された書類上でカワグチ氏のサインが載っているが、ミヤケ氏が敬老の役員であり代表者、そしてこの件に関した担当者としても記載されている。

 日系アメリカ人社会(以下JAコミュニティー)にも相当数の社長や会長、所長が存在するが、通常は彼らがその企業や団体の代表者であり『 顔 』だ。LTSCのディーン・マツバヤシ氏、日米文化会館のレスリー・イトウ氏、全米日系人博物館のグレッグ・キムラ氏などがリトル東京での代表的な顔だ。新参ではゴー・フォー・ブローク全米教育センターのヴィンス・ベレスフォード氏だが、今後彼を見かける機会が増えてくるだろう。

 所長や館長、執行責任者といった肩書きの人たちはその団体のスポークスマンであり、ドネーションをしてくれたり貢献してくれたスポンサーとの仲を取り持つ。この羅府新報の紙面にその笑顔が掲載されたりするわけだ。彼らにはコミュニティーや理事会からのむずかしい質問にもうまく対応していくことが期待されており、それらにうまく対処できなかったり怠った場合など、彼らはいつも査定の対象となる。その団体の方向を見極め、 その団体の運営・統制、 寄付金など、 目標が達成できない場合には給料にも跳ね返ってくる。もちろん、1人のリーダーだけがその団体の成功を担っているわけではない。カレン・イシズカ氏による全米日系人博物館祝賀会での熱弁やクレメンテ・ハナミ氏の多年にわたる努力や貢献と情熱、そして職業レベルでの寄与はその団体の大きな先導力につながっていく。

ショーン・ミヤケ氏

ショーン・ミヤケ氏

 ミヤケ氏の話に戻す。彼は今どこにいるのだろう? 公の場には現われない、という彼自身なり役員たちの考えが得策だというのは理解し得る。しかしミヤケ氏は、今まさに運営事業の引き渡しの渦中にあり、その執行委員であり敬老を代表しなくてはならない立場にある。

 ゲリー・カワグチ氏は彼の所有する アッパークラストを日常業務として切り回している。ショーン・ミヤケ氏は公の場で敬老の今後について説明をする立場にあるのではないか。新たな構想について語り、皆を喜ばせたり新たな寄付金を得るための活動に精を出してはどうだろう。4100万ドルが口座にある敬老にしてみれば寄付金活動はさほど重要ではないとしても、コミュニティーとのつながりを保つことの必要性は高い。

 非営利団体では役員の給料を公開しなければならないという決まりがIRSにより決められている。敬老が公表した2012年のミヤケ氏の給与は27万5000ドル。リトル東京コミュニティーで記者をしている人間にとっては立ちくらみすら覚えるような金額だ。

 JAコミュニティーの非営利団体の役員が給料を取っていることを耳にし、故ジョージ・ヨシナガ氏が激怒したことを思い出す。ホースはたぶん非営利と『非』利潤とを誤解していたのだろう。

 イク・キリヤマと私が ホースに言いたかったことは、ほかの同クラスの非営利団体の給与額と比べた場合、日系アメリカ人社会の給料は決して高くはない。ただ、敬老が4カ所の施設の日々の運営に直接手を染める状況から脱した現在、役員たちの査定、見直し、変更をする時期ではないだろうか、ということだ。  ミヤケ氏自身に関していえば、彼はいわゆるコミュニティーに属した人ではなく、敬老以外のイベントなどには顔を出すことも無く、 まわりの JAコミュニティーの目からすると理解し難い存在だ。

 つまり、毎年お盆で一緒に踊ったり、 セカンドストリートで二世週祭を見物、みつるグリルで食事をし、羅府新報を一緒に読み、ハリウッド・ドジャースのバスケットボール・トーナメントで時折出会うなど…、それが JAコミュニティーをつなげる絆の役割をしている。

 確かにサークルの外にいる人たちにはこうした状況に踏み入るのは簡単ではないだろう。だからこそ羅府新報で働く私たちもこの辺りのことを心して、コミュニティーの一端を担うよう努力し、存続して来たのだと確信している。6フィートもある長身のメキシコ系アメリカ人の写真家マリオGレイエスも、すっ頓狂な髪型でウクレレを携えてよく歩き廻っているスポーツ・エディターのマイキー・カルロスも JAコミュニティーの一端を担っている。ガーデナでもトーレンスでもなく、サンペドロで育ち、バスケットボールとも無縁な日系アメリカ人の私自身でさえ、このコミュニティーへの愛と努力でコミュニティーの理解に努め、取材を続けてきた。

 ミヤケ氏がこうした活動の外にいるのだとしたら、彼に日系人社会の未来像を理解できるだろうか。高齢新一世の占める存在の大きさの変化などに関した状況把握の欠如などが、今回の敬老売却問題の要の一部ではないだろうか。

 敬老そしてショーン・ミヤケ氏の賛同者が、ここに書かれている内容や羅府新報の取材内容のため、あまり公正な扱いを受けていないと感じていることは承知している。ここではっきりしておきたいことは、私は敬老がこのまま苦々しい思いを保持したまま消えていくのではなく、コミュニティーとのつながりを大切に、力強く、活発になる必要性を 訴えたい。 JAコミュニティーのすべての事業、団体を存続させるのはとても重要だからだ。

 ミヤケ氏がもしこのまま姿をくらませるなら、敬老は新しい所長、執行委員長を選出する時期を示唆しているのかもしれない。

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