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Writer's pictureRafu Shimpo

Eatadakimasu:日本食の奥深さ、弁当に込めて

15種ほどのおかずが彩り美しく盛りつけられた弁当


 ロサンゼルスに新たに誕生した「ROW DTLA」(777 Alameda St, Los Angeles)。オフィススペースやカフェ、レストランなどが入った複合施設の一角に、和を感じさせる佇まいのレストランがある。日本料理店「隼人」は昨年末に開店し、ランチは弁当のみを提供している。日本料理の奥深さを弁当に込めたオーナーシェフの呉ブランドン隼人さんに、こだわりの弁当や日本料理への思いについて話を聞いた。【吉田純子、写真も】

勉強熱心で、漬け物から弁当に至るまで日本の料理本を熟読しているというオーナーシェフの呉ブランドン隼人さん

 東京生まれの父親がロサンゼルスで寿司レストランを経営していた影響で、15歳頃から店を手伝っていたという呉さん。大学はUCLAに進学し、生物学部を専攻。しかし卒業後に選んだ道は日本料理の世界だった。  「学生時代は研究室にこもり、実験のデータをとる仕事もしていました。しかし料理への情熱の方が勝った。料理人は毎日違った食材と向き合い、毎回違うお客さまをお迎えする。僕にとってはラボにこもっているより、断然料理の世界の方が魅力的だったのです」  卒業後間もなくして日本にわたり、東京都内にあるミシュラン三ツ星の日本料理店で修業し腕を磨いた。日本料理のシェフとして経験を積んだのち、昨年末に自らの名を冠した「隼人」を開店した。「日本食はとても奥が深い。日本料理は寿司だけではないのです。アメリカの人々に日本食の魅力をもっと知ってもらいたかったのです」  現在提供しているのはランチの弁当1種のみ。今後はディナーも始める予定だという。  弁当は予約制で、1箱46ドル。注文して持ち帰る客が多いというが、7席あるカウンターで食べることもできる。オレゴン産の杉でできたカウンターで木のぬくもりを感じながらいただくのも心地よい。  おかずは日本の懐石弁当の定番を揃えた。木製の弁当箱の中にはだし巻き卵、合鴨ロース、銀ダラの西京焼、天然海老しんじょ、干し椎茸の煮物、春菊のすだちおひたし、本しめじのおひたし、冬瓜含め煮、伊達巻き卵、北海道帆立貝の塩焼き、ずわい蟹豆腐、揚げ出し茄子、きゅうりの胡麻風味、ずわい蟹の酢の物、薩摩芋の煮物など15種ほどのおかずに、ごぼうの炊き込みご飯が加わり、彩り美しく盛りつけられている。

木箱の弁当ボックス

 「お客さまの多くは当地のアメリカ人で日本の懐石弁当に馴染みがない人ばかり。だから和食の典型的なメニューを揃え、日本の味を知ってもらいたかったのです」と呉さんは話す。  弁当はすべて呉さんひとりで作っており、仕込みと調理に8時間から10時間を要する。朝は10リットルの出汁(だし)を作ることから始まり、銀ダラなどのシーフードをはじめおかずを調理。煮物や出し巻き卵は前日の晩に仕込んでおくのだという。ふっくらと柔らかく、中まで味がしみ込んだ銀ダラ西京焼は、ゆっくりと時間をかけて焼き上げた自信作。ひとつひとつに丁寧な仕事ぶりが感じられる一品だ。  「すべての味に素材のアイデンティティーがあります」。決して手をぬかず、うまみを食材に封じ込め、日本の懐石料理の真髄をそのままに、丹精に一品一品を作り上げている。  弁当の申し込みはホームページから―hayatorestaurant.com/  1320 E 7th St #126, Los Angeles  (213) 395-0607

弁当を盛りつけるオーナーシェフの呉ブランドン隼人さん


ディナーを始めたら日本の食器を使って懐石コースを提供する予定だという。カウンターには自身が集めた食器の一部が並べられていた


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