時の流れ

 私事で恐縮だが、この6月10日は私たち夫婦がアメリカへ来て、30年目の記念日にあたる。この間、私は日系企業の駐在員として働き、引退後は現地で社会活動などにかかわった。ここ数年は病気にも取りつかれ、変化に富んだ人生だった。  そしてこの30年間、私たちを取り巻く社会・環境の変貌も驚くばかりだ。私が日本を離れた30年前(1985年)は、8月に日航機が群馬県の御巣鷹山の尾根に墜落、歌手の坂本九さんら乗客乗員520人が死亡するという、わが国航空史上最悪の惨事があった年だ。また、この年は過度なドル高の対策に頭を痛めていた米国の呼びかけで、G5(先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議)が開催され、為替レートに関する合意(プラザ合意)が発表された年でもあり、日本では急速な円高が進行した。  このころ、日本はバブル景気が始まり不動産、株式はじめほとんどの経済指標が右肩上がりで推移を続けた。日本国内だけでなく、日本から海外への過度な投資・投機も続き、米国資産に対する日本資本からの買収が賑やかだった。  私がロサンゼルスへ赴任した30年前から少したって、日本の経済誌のグラビア写真にロサンゼルスの高層ビル街の写真が掲載されていて、その半分以上のビルに日本国旗が貼り付けられていたのを覚えている。これらの高層ビルが日本資本に買収されたことを意味していたのだ。また周辺の有名ゴルフコースや高級ホテルも日本資本による買収が相次いでいた。これら日本からの投機ブームは、それから数年後、バブル崩壊とともに姿を消してしまった。  近頃、1990年代以降に生まれ、バブルを知らない若者の間でバブルの過熱景気の再来を期待する発言が聞こえ始めている。バブルになればほとんどの指標が過熱して右肩上がりとなるが、バブル(泡)はしょせんバブルであり、必ずはじける。先のバブルの時代でも終わってみれば投資家だけでなく、多くの一般庶民も損失を被った。私はこの時期に財テクなどにはまり込み、大怪我をした人を何人も知っている。バブルを知らない若者諸君、泡に期待するのはビールくらいにしておこう。【河合将介】

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