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台湾川柳

 4年前にこの稿で「ある和歌集」と題して現代版「台湾万葉集」について書いたことがある。戦前から戦後そして今も日本語を愛する台湾の人々が高い日本語の能力で熱心に集まり詠み続けている和歌集を取り上げた。逆境といえる歴史環境の中で台湾の人々が日本語で人生を織り込んだ命と生活の歌、心に染みる短歌の数々を紹介した。この人たちの日本語と日本文化に親しむ心情はその稿の結びに入れた次の歌によく表れていると思う。 〈母国語にあらねど惹かれ年経ちぬ三十一文字の深き調べに〉  親日度が世界一高いといえる台湾には、日本が好きで日本の伝統文化や生活習慣に深く親しむ人々が多い。戦前戦中の日本統治下に日本語教育を受けた高齢者だけでなく、若手世代にも哈日族(ハーリーズー)の名で日本大好き族と呼ばれる若年層が育っている。その中で日本の詩歌の分野では高齢者を中心に最近は中年や若手も入り愛好者の活動が根強く、和歌も俳句も川柳も盛ん。俳句では台湾俳句歳時記も出版されている。LA周辺でも日本人社会のいろいろな短歌、俳句、川柳同好会などにも台湾系のお仲間の参加があちこちに見られる。  さて今回は台湾の人たちが作り続け楽しんでいる川柳である。幾つかの会があり日本と通信しながら合同で活動している会もある。僕は下手素人だが和歌、俳句、川柳夫々に違う性格と味わいが皆好きで、どれが一番好きと選ぶことが出来ない。短歌は三十一文字で存分に語り尽くす味わい、俳句は季語を入れ自然(と生)をたった17文字で詠む厳しさと余白と省略の味わいの世界と思うが、川柳は文芸性よりも何といっても自由な裸の心で人生や生活の喜怒哀楽を歌う気取らない大衆性が魅力だ。手持ちの台湾川柳からスペースの都合で数首のみだが紹介して終りたい。軽妙さに加え折々に日本とのつながりが浮き沈みする趣がある。  ○過ぎ去った国の旨さを握り寿司○断捨離で過去の思い出消してゆく○剃刀に命預けて眠りこけ○白内障今も未来もかすみ出し○台所刀持つこと許すとこ○なでしこの快挙続いて皆美人○ニッポンという愛憎に揺れるクニ【半田俊夫】

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