4月の日本の風景

 4月の東京を歩くと日本の会計年度が新しく始まった月独特と思える光景があちこちで目にとまる。それは特にビジネス街でいかにも社会人一年生と思える大小の若人の集団が目に入り新鮮な雰囲気を醸し出していること。男女とも皆揃って一様に濃紺か黒のスーツ上下に白いワイシャツ、控えめな色のネクタイと新人らしい出で立ちで、若い雰囲気を発散し一目で社会人新入生と分かる。見ていて自分も昔そうだったなと思い出す。  僕は東京で大学を卒業して就職し、ビジネス街でどこか他社の新入らしい集団を見て彼らも社会人一年生だなと分ったし、自分たちも同様に見えるらしいと感じていた。新入生は研修などで外に出る時も昼食で外に出る時も同級同士で一緒に行動しがちだ。何しろ社内では全ての人が自分たち新人より年長の先輩だから、同僚同士が一番自由で気楽だ。  日本は企業や政府や学校も3月に年度が終り春4月に新年度が始まる。自然に4月は希望や決意を胸にした新しい門出の月になる。4月は全国で入学式、入社式、入所式などが行われ、テレビや新聞でも明るくフレッシュな話題として報道する。3月から4月とちょうど桜が花開き、やがて花吹雪となって散っていく色合いを背景に進むので、人々は涙や感激や新しい希望や決意の光景を日本のあちこちに共有する。春の新緑の輝きと相まって日本人にとって情感が揺れ、弾む時節である。  社会人一年生の話に戻ると、彼らは4月からいよいよ社会人、仕事人として人生本番の生活を始めるが、その前に3月には卒業式で感激の時を持ち、級友や教師、学校に別れを告げ、あるいは郷里に里帰りして数日を過ごし、3月末には駅で両親に見送られ手を振り合って涙と笑いの別れの中に新しい門出に立つ。そういう場面を持った若者も多くいるに違いない。  街で社会人一年生らしい若者たちを見ていて、彼ら一人一人にこれからどんな人生が待ち受けていて、彼らはそれらをどう通過して行くのか、とふと思う。さまざまな問題を越えて自分の人生を作っていくのだろう。彼らの一人一人に「頑張れよ」と思わず心の中でつぶやいた。【半田俊夫】

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