シエラマドレ小の日本庭園採用:着物姿のプリンセス、琴演奏も
五重塔や池に架かる太鼓橋、灯籠の灯りも花で装飾され、後方には「枯山水」が配置される
今年のローズパレードのフロートに日本庭園が採用され、製作が大詰めを迎えている。一般公募より選ばれたのは、シエラマドレ小学校にある日本庭園をモチーフにしたフロートデザイン。花の飾り付け作業を目前にした12月中旬、シエラマドレ・ローズフロート・アソシエーションが作業を進める製作所を訪ねた。
過去17回ローズパレードに参加してきた同アソシエーションは、実行委員会から9度の授賞を受けた実力ある団体。毎年、元旦のパレードが終わるとすぐに一般よりデザインを募り、翌年の企画を開始する。今年はシエラマドレ小学校にある日本庭園をモチーフにしたフロートデザインが採用された。同団体で長年ボランティアとして活動し、現在はリーダーとして全体を仕切るケイ・サッピントンさんによると、公募の中から3作品に絞り、ボードメンバーの投票により最終候補が決定された。他団体に類似のフロートがないかなどをローズパレードの実行委員会が審査し、正式に承認を受けた春ごろから製作が始まった。
シエラ・マドレ小学校の日本庭園「グッドウィル・ガーデン」を題材にしたフロートのイラストレーション
LAタイムズウェブ版によると、この日本庭園は1931年に日系人の親たちによって同小学校に作られたもの。第2次世界大戦の勃発により日本庭園は長きにわたって忘れ去られていた。戦後50年たった1995年、当時6年生だった女子児童はかつて存在した日本庭園のことを歴史の授業で知る。何とか復活させたいとクラスに働きかけ、皆で協力してベークセールや洗車などをし資金を集めた。その活動に賛同した日系人建築士で造園家ルー・ワタナベさんの助けも借りて同小学校の日本庭園が返り咲いた。
このエピソードを基にしたデザインがフロートに決定すると、ケイさんらボランティアグループは日本の楽器で音楽を奏でてもらおうと話し合った。「三味線か琴という案だったが、他の町のフロートにギターのテーマがあったので、三味線はやめることにした。あいにく琴を弾ける知り合いはいなかったので、周囲に呼びかけて探した」。
工程について話し合うシエラマドレ・ローズフロート・アソシエーションのボランティアメンバー。左から2番目がケイさん
琴の指導に当たっている鯨岡佐枝子さんを知人に紹介されたケイさんらは、彼女の弾く琴の音を聴き、大いに感動。琴の演奏とのコラボレーションの成功を確信したという。
「佐枝子はすごくやり手」とケイさんは興奮気味に語る。「日系コミュニティーの彼女の知り合いを次々と紹介し、着物の着付けとレンタルをしてくれるグループまで見つけてくれた」
鯨岡さんは羅府新報に寄せたコメントで「(7月に制作所を訪れたさい)猛暑の中、防護服を着て溶接作業をするボランティアを見かけ、フロートにかける情熱を感じた」。「興味深い歴史の日本庭園のデザインのフロートを日系コニュニティーとしてもサポートしていけたら」との思いから、参加を決意した。
鯨岡さんは「南加庭園業連盟やイーストサンゲーブルバレー庭園業組合などから寄付をいただき、なでしこ会さんにも着付けや着物レンタルをボランティアで引き受けていただいた」と感謝を表した。
フロート製作を手伝うモンテベロのカブスカウト「PACK476」のメンバー
パレードの当日は、共にフロートの上に立つ3人のプリンセス(ケイト・ペリーさん、リディア・プラウトさん、テス・パーキンスさん)と着付けを済ませ、早朝5時半にはパサデナの高校に集合。日の出前で冷え込む中、フロートの上に7時半からスタンバイするという。約90組の出場中70番目くらいの登場で、「オレンジグローブからコロラドのメインの通りに出てくるのは9時過ぎごろ。全国の皆さまに素敵な日本庭園フロートとお琴の演奏を楽しんでいただけたらと願っております」 【麻生美重、写真も】
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